リスクを低減する製品に関する規制

数多くの規制当局および公衆衛生当局が、たばこ関連疾患のリスクを減らすと主張し販売されている製品に対して、規制が必要であると認識しています。 今日、たばこ製品にしろ、ニコチン製品(電子たばこなど)あるいはその他の製品(ハーブたばこなど)にしろ、新しい製品が、従来型の紙巻たばこより安全な代替品である、または禁煙治療に効果的であると主張し販売されています。 しかし当社の知る限り、こうした主張はいずれも規制当局に検討され承認されていません。

2003年に世界保健機関(WHO)のたばこ製品規制に関する科学諮問委員会は、政府は「市場にこうした製品が出回ることを受け、決断を下し、政策を策定する必要性に直面している」と述べました。 また欧州委員会も2007年に、新しいたばこ製品およびニコチン製品の台頭に対処するための規制が必要であることを表明しました。 [1]

喫煙関連疾患のリスクを減らすと主張し販売されている製品に対して、具体的に対処するための法律を制定した国がいくつかあります。 例えば米国では、たばこ製品に関する管轄権を米国食品医薬品局(FDA)に付与する法律を連邦議会が制定しました。 この法律 は、FDAにより承認された場合を除き、疾病リスクを減らすたばこ製品であるという主張を行うことを禁止しています。 またギリシャでは、保健省による事前承認がない場合、健康上のリスクを減らすたばこ製品であるという主張を製造業者が行うことを禁止する法案が可決されました。

米国連邦議会は、リスクを減らすたばこ製品の主張を規制する必要性について、次のように述べています。

「実際にはリスクが減らないにもかかわらず、危険性改良たばこ製品として販売され流通している製品の危険性はきわめて高いため、危険性改良たばこ製品についての説明が完全かつ正確であり、その製品の疾病リスク全体に対するものであることが確実となるよう政府は強い関心を持っている」。[2]

リスクを減らすたばこ製品に関する規制の必要性についての見解がもう一つ、2001年、米国医学研究所(IOM)より表明されました。 IOM の専門家委員会は、「たばこの毒性物質への暴露を低減し、たばこ関連疾患のリスクを減らす妥当な見通しのある製品の開発と販売の動機」になり得るという理由から、リスクを減らすたばこ製品に関する規制は重要であると述べました。[3]

当社の見解

当社は、リスクを低減する製品に関する規制は、たばこ製品規制において極めて重要であると考えています。 米国連邦議会およびその他の機関が表明したように、十分な科学的根拠のない主張が行われるのを、規制により防止することができます。 また、そうした主張が厳格かつ一律の基準に基づいて行われることを確実にします。

リスクを低減する製品に関する規制は、次の四つの要素で構成されるべきです。

市場導入前審査: 主張は、市場導入前に規制当局により承認されなければならない

主張の立証: 主張は、有効な科学的データに裏付けられていなければならない

主張内容の承認: 主張の文言は、製品の利点およびリスクを正確に伝えていなければならない

市場導入後の監視: 市場導入後に当該製品の使用を監視して、消費者および人口全体に与える影響を評価しなければならない

リスクを減らすという主張は、先端に火をつけて吸う従来型の紙巻たばこと比較したとき、一つ以上のたばこ関連疾患のリスクを減らすという妥当な可能性がその製品にはあるという事実を証明する、信頼のおける科学的データにより裏付けられる必要があります。 これは、その製品が「一つ以上の特定疾病あるいはその他の悪影響のリスクを軽減することが合理的に見込まれる」場合に、リスクを減らすという主張が認められるとした、2001年のIOMの推奨と一致しています。[4]

ただ一つまたは複数の煙成分への暴露を減らすだけで疾病リスクが減るという十分な証拠は現在のところありません。 したがって、特定の煙成分 への喫煙者の暴露が削減されるという証拠のみに基づいて、リスクを減らす製品であるという主張が認められるべきではないと当社は考えています。

リスクを低減する製品の評価
新しい製品がリスクを減らす製品であるかどうか判断することは極めて難しい問題です。 それは、ほとんどの喫煙関連の疾病が発病までに長年かかり、その発病を引き起こす特定のメカニズムについて十分に解明されていないからです。 リスクを減らすという主張を立証するには、ある製品が喫煙関連疾患のリスクを減らす可能性があるか否かについて評価するための現代科学的手法を開発することが不可欠です。

新しい製品が喫煙関連疾患のリスクを減らすかどうかを調べる究極の試験は、長期にわたる疫学的研究を実施することです。 しかし、この種の研究を製品が市場に出る前に完了させるよう求めることは、専門家も同意しているように、現実的ではありません。 リスクを減らす製品であるという主張を評価する別の手法が必要です。

近年の科学的知見および技術の進歩により、市場導入前にリスクを減らすたばこ製品の評価をおこなう方法として現実的な、正確かつ信頼のおける手法を開発することは可能であると当社は考えています。

主張内容の承認
主張内容についてもまた、規制当局はガイドラインを確立する必要があります。 このガイドラインでは、製品の相対的な利点とリスクについての正確な情報が消費者に提供されると同時に、主張に対する政府からの承認は当該製品の支持を意味するものではないということが消費者に伝わるよう義務付けるべきです。 リスクを減らす製品を使用することでリスクがなくなるわけではない(そのように立証されていない限り)ということ、禁煙の代わりにはならないということ、そして、喫煙関連疾患のリスクを減らす最良の方法は禁煙であるということが、消費者に伝わるようにすることが重要なのです。

市場導入後の監視
市場導入後の監視は規制の重要な要素であり、これにより規制当局はリスクが実際に低減していることを確認し、人口全体に及ぼす害についての追跡調査が可能となります。 市場導入後の監視を行う専用の体制は、規制当局によって、たばこ市場の特性を考慮しながら、開発されなければなりません。

[1] 新しいまたは改良されたたばこ製品の評価の指針となる原則に関するステートメント、世界保健機関(WHO)、2003年
[2] HR 1256、第111回米国連邦議会、2009年
[3] および[4]クリアリング・ザ・スモーク: たばこの害の低減に関する科学的根拠の評価、米国医学研究所(IOM)委員会、2001年