たばこへの課税

たばこ製品は世界で最も重く課税された消費財であり、多くの場合、小売価格の半分以上を税金が占めています。それにより、各国政府に総額で年間2,000億米ドルを超える税収をもたらしています。

紙巻たばこに対する課税(%)

各国政府は、複数の目的を達成するためにたばこへの課税を利用しています。 たばこ税およびその他の課税・価格措置は政府の税収確保のために利用されています。 また、課税・価格措置は、たばこ消費を削減することで公衆衛生上の目的を推進するために利用することができます。 例えば、課税・価格政策は、世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約(FCTC)において中核をなす要素となっています。 FCTC第6条では、「価格および課税に関する措置が、さまざまな人々、特に年少者のたばこの消費を減少させることに関する効果的および重要な手段である」と定められています。

基本的に、政府はたばこに3種類の税を課しています。

  • 物品税: 対象を特定して課される消費税。通常、アルコールやたばこ、ガソリンなどを対象とし、一部の国では清涼飲料、コーヒー、茶といった製品にも幅広く適用
  • 関税: 輸入品にのみ適用
  • 付加価値税(VAT): 一般的な消費税。すべての物品およびサービスに適用

紙巻たばこの物品税(たばこ税)には、さまざまな構造があります。 オーストラリア、南アフリカ、ノルウェーなど、いくつかの国では、紙巻たばこ1本当たりの税額を定めて課税する従量税を採用しています。 また、タイ、パラグアイ、ベネズエラ、ボスニアなど、他の国では、価格に対する割合で計算して課税する従価税を採っています。 これらの課税方式は、すべての紙巻たばこに単一の税率(従量税または従価税のいずれか)が課されるため、「単一式」と呼ばれています。

一方、多くの国では、より複雑な課税方式が導入されています。 よく用いられる課税方式として、紙巻たばこをいくつかのカテゴリ(小売価格、紙巻たばこの長さ、包装の種類など)に分類してカテゴリごとに異なる税率を設定する、「段階式」と呼ばれるものがあります。

また、混合式の課税方式も一般的です。 これは従量税および従価税を組み合わせたものです。 欧州連合(EU)全加盟国は、混合式たばこ税の採用を義務付けられています。 欧州連合以外で混合式たばこ税を採用している国には、スイス、ロシア、ウクライナ、メキシコなどがあります。 従価税または混合式たばこ税を採用している国の多くでは、課税方式にかかわらず、紙巻たばこ1本当たりに課される税の最低額を確保する「最低課税」も適用されています。

最低課税

従価税を採用している国では、税収と公衆衛生上の目的を守るために、この最低課税を採用しています。 最低課税により、小売価格にかかわらず、紙巻たばこ1パックごとの最低税収が確保されます。 また、従価税が低価格製品に与える税上の優位性を制限することもでき、公衆衛生を損なう安い紙巻たばこの氾濫を防ぐことができます。

2011年1月現在、欧州連合加盟国27カ国のうち、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ポーランド、スペイン、フランスなど24カ国が最低課税を採用しています。 欧州連合以外で最低課税を採用しているのは、アルゼンチン、イスラエル、ロシア、スイス、トルコ、ウクライナなどの国々です。

異なる税制によって、各国内および異なる国家間で、紙巻たばこの価格水準に大きな差が生じる可能性があります。 例えば、従量税方式では、国内すべての紙巻たばこが同額の税を支払うことになります。 一方、従価税方式では、高級(品質および価格が高い)紙巻たばこに比べて安価な紙巻たばこが支払うたばこ税は安くなり、より大きな価格差が生じます。 下の図は、いくつかの国における、高価格の紙巻たばこが支払うたばこ税に対して、安価な紙巻たばこが支払うたばこ税の割合をパーセンテージ(%)で示したものです。

たばこ税

紙巻たばこ以外のたばこ製品(葉巻、シガリロ、手で巻く紙巻たばこ用の刻みたばこ、パイプたばこ、スヌース、噛みたばこなど)は、すべての国ではありませんが、ほとんどの国でたばこ税の対象となっています。 しかしながら、ほとんどの国々においてこうしたその他のたばこ製品への課税率は、機械製造の紙巻たばこ製品に比べてはるかに低くなっています。 下図は、いくつかの欧州連合加盟国における紙巻たばこと刻みたばこ(手巻きたばこ)の課税水準を比較したものです。

マールボロと刻みたばこに対する税総額レベル

当社の見解

課税および価格政策は、税収と公衆衛生上の目的の両方を達成するために利用されるべきです。 公衆衛生の専門家たちが認識しているとおり、課税および価格措置は、包括的なたばこ政策の主要な構成要素です。

しかし、当社は、公衆衛生上の目的を損なう悪影響を及ぼす可能性がある過度な増税は支持いたしません。 政府は、政策目的を達成することのできる課税水準を維持しながら、たばこ製品を成人喫煙者の手の届かないものにしないように、バランスをとらなければなりません。 この適切なバランスは、その国固有の多くの要素によって決められることとなります。 国際通貨基金(IMF)は、「最終的には、たばこ税の税率には、その国の消費者の購買力と近隣諸国の税率、さらに、とりわけ税務当局の順守を強化する能力および意志を反映させなければならない」と述べています。[1]

適切な税率を決定する際の重要な要素の一つに、増税が不法取引の成長に与える潜在的な影響が挙げられます。 不法取引は、行き過ぎた課税を含む数々の要素によって促進されることは明らかです。 密輸の横行を伴わずに高水準の課税を維持することは可能ですが、税金はたばこ製品の不法取引を後押しするため、その大きな要因であることに変わりはありません。 さらに政府は、法を執行し国境を警備するための人員、意欲、能力を備えなければなりません。 不法取引を防止する効果的な措置をとりつつ、緩やかで段階的な増税政策を採用することが、不法たばこ市場を助長し、成長させるリスクを低減し、税収および公衆衛生上の目的を達成する最適の方法であることは、過去の経験から明らかです。

政府は、最善の課税水準を検討するだけでなく、適切な税制を定めることがより重要です。 税制が不適切だと、税率の低い紙巻たばこ、またはその他のたばこ製品へと需要が移ることを後押ししてしまうだけです。 安全な紙巻たばこというものは存在しないという見解が確立されている現在、基本理念として、税制によって消費者を安価な製品へと駆り立てる公衆衛生上の理由はないと当社は考えます。 だからこそ当社は、従量税、最低課税、紙巻たばこ製品およびその他の先端に火をつけて吸うたばこ製品(刻みたばこなど)に対し同等の税を課す税制を支持します。

[1] 世界銀行「たばこ流行の抑制」(1999年) 別表A: 国際通貨基金(IMF)の見解

Set cookie preferences