日本初の民間主体、避難生活支援ネットワーク「EDAN」始動―避難生活の質を高め、災害関連死ゼロへ

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フィリップ モリス ジャパン(以下、PMJ)は、特定非営利活動法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(以下、JVOAD)と共同で、災害関連死ゼロの実現を目指す民間主体の避難生活支援ネットワーク「EDAN(Essential Disaster Assistance Network、読み:イーダン)」を2025年9月1日に設立しました。

本ネットワークは、「TKB(トイレ、キッチン、ベッド)」という避難生活の基本インフラを、発災から48時間以内に届ける「TKB48」構想を中核に、自治体・NPO・専門支援団体と連携しながら、行政だけでは手が届きにくい課題に対し、民間のスピードと柔軟性を生かして迅速かつ実効的な支援を届けます。これにより、官民が一体となって日本の防災力を高めることを目指します。

EDAN設立発表会の様子

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EDANとは ─ 災害関連死ゼロに向けた民間主体の挑戦

避難生活の「質」が命を左右する─EDAN設立の背景

災害による死は、地震や津波など直接的な被害だけに限りません。避難所生活における長期的なストレスや医療体制の不足、健康悪化によって引き起こされる「災害関連死」は、過去の震災でも数多く報告されています。実際に1995年の阪神・淡路大震災以降、これまでに全国で5,456人もの方が災害関連死と認定されています(2025年1月時点、共同通信調べ)。

こうした災害関連死は、避難所生活の「質」を向上させることで、その多くが防げるとPMJは考えており、「尊厳を守る避難生活をすべての人に、災害関連死ゼロへ」というビジョンの下、日本で初めて民間主体による支援物資の備蓄から被災地域への配送までを一括して行うネットワーク「EDAN」を設立しました。

PMJの企業活動の根底には、「リスクを完全にはなくせなくとも、その害を減らす」という揺るぎない理念があり、この考え方は、防災、減災の目標とも深く通じ合っています。

EDANの設立は、単なる社会貢献活動ではなく、日本の社会課題に対し、企業が主体的に向き合い、その解決策を生み出すというPMJの強い企業姿勢の表れでもあります。

TKBの内容

T(Toilet):衛生環境確保のため、トイレトレーラーや持ち運び可能な簡易トイレ「ラップポン」を整備。24時間利用可能でバリアフリーにも対応。プライバシーが確保された清潔なトイレの提供が可能となり、健康被害と感染症のリスクを大幅に低減。

K(Kitchen):避難生活中でも温かい食事を提供するため、キッチンカーを導入。温かい食事を提供することで、被災者の心と体の両方を癒やし、食事を通じたコミュニティー形成を促すことで孤立を防ぐことができる。
撮影:鈴木省一

B(Bed):段ボールベッドや間仕切りを提供することで、床からの寒さを遮断することに加え、プライベート空間の確保と、快適な睡眠姿勢を可能にし、心身の回復をサポートする。

EDANの強みは、こうした被災地に本当に必要な物資を「誰よりも早く、もれなく、むらなく」届けることができる点です。

民間団体であるパートナーの皆様だけでは平時の備えに必要な予算を集めることが難しいという課題がありましたが、PMJがこの部分を資金提供によってカバーすることで、避難生活の支援物資を備蓄し、迅速な支援につなげていきます。

NPO・専門支援団体との共創で成り立つEDANの体制

EDANは、民間企業であるPMJと、NPO・専門支援団体との共創により、平時・災害時の両フェーズにおいて一貫した支援を実施する体制を構築しています。

具体的には、発起人であるPMJに加え、統括のJVOAD、事務局の公益社団法人ピースボート災害支援センター(以下、PBV)、そして加盟団体であるNPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(以下、VAN)、特定非営利活動法人レスキューストックヤード(以下、RSY)、一般社団法人助けあいジャパンが連携する、循環型の支援構造で成り立っており、PMJは、特に資金提供やネットワーク構築支援、広報面での役割を担います。

平時には、備蓄計画の策定・実行やネットワーク運営、支援物資の調達を行い、災害時には、被災地のニーズを集約・調整し、迅速に物資を配備します。

EDAN設立発表会 ─ 防災の新スタンダードを示し、活動の輪を全国へ

2025年8月27日、東京ポートシティ竹芝にてEDANの設立発表会を開催しました。

会場には、来賓として国家公安委員長・防災担当大臣を務める坂井 学衆議院議員をはじめ、JVOAD、PBV、VAN、RSY、助けあいジャパンといった今回のパートナーである災害支援団体や、多くの報道関係者が集まり、EDANの概要や設立背景の説明に加え、TKB支援設備の展示や、実際の避難生活を模した体験ブースを設けました。

PMJが「ファーストペンギン」となり、社会課題に向き合う姿勢を示す

イベント冒頭で登壇したPMJ社長のシェリー・ゴーは、PMJの約1,600人の従業員とその家族が日本各地の地域社会の一員であることを述べ、「日本が直面する課題を自分たち自身の課題として受け止め、真摯に向き合う責任がある」と、力強く語りました。

PMJ 社長 シェリー・ゴー

また、日本社会にお世話になってきた企業として、日本に何かお返しをしたいという思いが、この活動のきっかけであり、さらに「リスクを完全にはなくせなくとも、その害を減らす」というPMJの企業理念も、まさに防災・減災の考え方と深く重なると述べました。

この企業理念は、企業が社会課題に対して主体的に向き合い、解決策を生み出す存在であるべきという当社の企業姿勢を反映したものです。この活動を通じて私たちが「ファーストペンギン」となり、日本のさまざまな企業・団体が「じゃあ一緒にやろうじゃないか」と声を上げ、活動の輪が横に広がっていくきっかけになることへの期待を語りました。

災害支援に大きな一歩をもたらす─支援現場からの期待

EDANの統括を務めるJVOADの代表理事 栗田 暢之氏、事務局を務めるPBVの理事・事務局長 上島 安裕氏も登壇。

栗田氏は、令和6年能登半島地震の現場で目にした過酷な避難所生活の実情を語り、「本当に必要なところに、必要なものを届けるためには、官と民の連携が非常に重要」だと強調。

JVOAD 代表理事 栗田 暢之氏

EDANが民間企業とNPOが手を結ぶきっかけとなり、日本の災害支援に大きな一歩をもたらすことを期待していると述べました。上島氏は、「災害関連死は無くせるもの」と述べ、EDANが被災地の実態に即したニーズを把握し、それに応じた支援を迅速かつ全国的に展開できることへの期待を語りました。

PBV 理事・事務局長 上島 安裕氏

また、「私たちのような民間の団体だけでは、平時の備えに対して予算が集められないという課題を、官民が連携することで解決できる」と述べ、EDANは「企業と市民が共に支え合う防災の新しいかたち」であることへの期待感を示しました。

PMJは、EDANの発足を契機に、全国規模で迅速に支援を届けられる体制の構築を進め、本活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。

【構成団体】
・統括:特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
・事務局 公益社団法人 ピースボート災害支援センター(PBV)
・加盟団体:
 - NPO 法人 ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)
 - 特定非営利活動法人レスキューストックヤード(RSY)
 - 一般社団法人助けあいジャパン

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